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「ねぇ、つかさ」 暑さがますます増してきた七月間近。 柊家に遊びにきていた私は、いつものように遊んでいたゲームをやめて隣で漫画を読んでいるつかさに尋ねた。 かがみが欲しいものを知らないか、と。それがどんな結末を生むのかも知らずに。 「どうしたの急に」 「もうすぐつかさとかがみの誕生日じゃん」 去年のようにコスプレ衣装を渡そうかとも考えたけど、二番煎じじゃインパクトもないし、 二人ともあまりお気に召さなかったようだから早々に却下した。 贈るからにはなるべく喜んでもらいたい。それなら本人が希望しているものが一番だ。 だけど直接訊くのは芸がない。やっぱりプレゼントには『何が入ってるのかな』ってワクワク感がないと。 というわけでこの一週間、かがみのプレゼント選びに頭を悩ませていた。 つかさのプレゼントはすぐに決まったからもう用意してある。犬のぬいぐるみと新しい調理器具。 一ヶ月くらい前につかさが欲しいと言っていたのを憶えていた私の頭に感謝した。 かがみには悩んだあげく、無難にラノベと可愛いお菓子類でも贈ろうかなと考えていたけど、 私はラノベには詳しくないし、かがみの好きな種類のものが選べるかはわからない。 今日遊びにきたのは、さり気なくかがみの本棚を見て好みを探ろうと考えたからだった。 生憎かがみは出かけていたけど(夕方まで帰らないらしい)むしろ好都合だ。 気兼ねせずにつかさに色々訊けるしラノベよりも欲しいものがあるかもしれない。 というか、意地を張らずに最初からつかさに訊けばよかった。 「お姉ちゃんが欲しいものー……あっ」 たぶん何か思い当たったんだろう。へにゃんとしていた黄色いリボンが、猫のしっぽのようにピンっと立った。 どういう仕組みになってるのそれ。私のアホ毛と一緒かな。 「こなちゃん」 「何? つかさ。欲しいものわかった?」 「だからこなちゃんだよ」 「……は?」 私の頭が暑さでおかしくなってしまったんだろうか。それとも聞き間違い? 爆弾発言に混乱してしまう。それがまともにとりあっていないように見えたのか 少しむくれたつかさは大きな声でもういちど爆弾を投下してくれた。 「お姉ちゃんはこなちゃんが欲しいの!」 私が欲しいって、そんなどこかの変態魔導師じゃあるまいし、そもそも私魔力ないんだけど。 なんて、つかさは元ネタを知らないだろうから茶化すこともできない。 「ほんとだよ。うそじゃないもん」 「うん、それはわかるよ」 確かに冗談を言っているような雰囲気はなかった。だってつかさの目は真剣だ。 こんなに凛々しい顔つきは初めて見たよ。できればもっと違う状況で見たかったなぁ。 というか、本当にかがみは私が欲しいのか。そんな素振りちっともなかったじゃん。 でもつかさには気づかれているあたり詰めが甘いね。こんなふうにばれるかもしれないのに。 私がかがみを好きじゃなかったらどうするつもりだろう。 そう、私はかがみが好きだ。たぶん恋愛感情で。気づいたのはたった今だけど。 かがみが私を欲しがっていることに驚きはしたけど嫌じゃなかった。それどころか嬉しく感じる気持ちもある。 つまり、そういうことなんだろう。 こんな形で気づくなんて我ながら情けないと思いつつ、つかさにもう一度尋ねた。 「かがみの欲しいものはわかったけどさ、それってどうすればいいと思う?」 「こなちゃんをお姉ちゃんにあげればいいんだよ」 『それともそれが嫌なの?』と不安げな目にさせてしまったから慌てて言葉を付け足す。 「う、うん。それは別にいいんだ。でも私をあげるとしてもどうやって」 私は物じゃないし、はいどうぞと渡せるもんでもない。裸の私を赤いリボンで包装した後箱に入って かがみが箱を開けた瞬間抱きつく、なんて最近のラブコメマンガでも見ないお約束をするわけにもいかないし。 恥ずかしいうえに、痛いよ。色んな意味で。 そんなアホなことを考えたのがいけなかったのか。 つかさはすごく長いリボン(赤色)を取り出して、私の腕に巻きつけた。 「えっと、まずこのリボンを」 「もういいよわかったからそしてごめんそれ却下」 「すごーい、どうしてわかったの?」とすげなく拒否をしたことなんて気にもしていない無邪気な笑顔に どっと全身の力が抜けた。そんなリボンどこにもなかったよねとツッコム気力もない。 「うーん、でも」 ん? と手に違和感を覚えた瞬間――私の視界は反転した。 反転した視界に最初に映ったのはつかさの顔。そして次に映ったのはその手に持っている赤いリボン。 「この方法が一番喜ぶと思うな、お姉ちゃん」 私はつかさに馬乗りされて、腕をリボンで拘束されていた ――ちょっと待って。何この状況。 「つか、さ? ちょ、シャレになんないって」 「だって冗談じゃないもん」 ひょいっと私を抱えあげるとつかさは居間から出ていく。 「ど、どこ行くのっ?」 「お姉ちゃんの部屋だよ。痛くしないから、ね?」 痛いとか痛くないとかの問題じゃないよ! いやそりゃ痛くないほうがいいけど! そもそも私の相談って誕生日プレゼントだったはずだよね!? 今こうしても意味がないじゃん!! 至極真っ当な反論の数々は、途中で口を塞がれたのでほとんど言えなかった。 かがみの部屋に運ばれてベッドに寝かされてからが本番だった。 さすが器用なつかさ。全然動けないのに痛くも苦しくもなく、腹が立つくらい綺麗なラッピングをしてくれた。 ご丁寧にカードまで付けていく徹底振り。そういや前にかがみがつかさは凝り性だって言ってたっけ。 じゃあ、まだ裸にされて箱に入れられていない分マシだと考えるべきだろうか。 このまま帰れなかったらお父さんが心配すると訴えてもきいちゃくれなかった。 ラッピングが済んだら連絡するので大丈夫らしい。「安心してね」と天使のような笑顔で言われて泣きたくなった。 そんな心配りは心底いらない。 かがみに早く帰ってきてほしいようなほしくないような、自分は明日の朝どうなっているのかと怯えながら いつかつかさに絶対復讐してやると誓いを立てていた。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-10 05 26 01) 黒つかさキタw その後のかがみんにされるがままにされるこなたを妄想すると・・・ -- 白夜 (2009-10-09 00 21 33) ワラタwこなたとつかさのボケツッコミに、つかさにされるがままのこなた、そしてこの後はきっとかがみにされるがままなんだろうなあ…柊姉妹恐るべしwww -- 名無しさん (2008-07-03 11 16 10) つかさ・・・怖いです。 不覚にも変態魔道師でフイタww -- 名無しさん (2008-07-01 08 34 07)
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「トイレ、借りるね」 いつになく重い雰囲気のまま、こなたが腰を上げた。 「…………」 話がある、と言ってアポも取らずにやって来たのはこなたの方なのに、何の話も切り出さないまま30分余りが経過していた。 (こなたのやつ、何考えてるのよ……) かがみは言い知れぬ不安を感じていた。 普段ならくつろぎの場であるはずのこの居間が、全く違う異次元の空間であるかのような気さえしていた。 その時、かがみの携帯が軽快な着信音を奏でた。 「……こなた?」 携帯の液晶パネルは、たった今この部屋から出て行ったばかりの少女の名前を表示していた。 『題名:かがみへ』 「……?」 不審に思いながらも、かがみはメールを開く。 本文は何も書かれていない……かのように見えたが、改行が何回も入れられていた。 かがみはそれに促されるように画面をスクロールしていく。 連続する改行マークが途絶えた先、最後の一行にたった四文字。 それが、かがみの目に飛び込んできた。 『愛してる』 「かがみ!」 次の瞬間、こなたの声が背後から響いた。 「!?」 かがみがその方向に振り返ると同時、こなたがかがみの胸に勢いよく飛び込んできた。 「こ、こな……こな、こ、こなあああッ!!??」 ぶっしゃああああああ。 興奮の余り、かがみは鼻腔から血流を噴出した。 「あ、あぐあっあ……」 そのとてつもない量の出血は、一瞬にしてかがみを貧血状態に陥れた。 眩暈がし、足元がふらつく。 こなたが飛び込んできた衝撃もあって、かがみは勢いそのままに仰向けに倒れこんだ。 「う、うぐっ。う……」 まずい。なんとか出血を止めなければ。 慌てるかがみ。 しかし、かがみの上半身には。 「!?」 涙をぼろぼろこぼしながら、非難するような目で自分を見ているこなたがいた。 (あ……あかん!!) ぶっしゃああああああ。 涙目こなたを間近で見たことにより、またしても大量の血液がかがみの鼻腔から放出された。 「う、げほっ、ごほっ……」 やばい。このままでは失血死してしまう。 しかしなおも、こなたは攻撃の手を緩めなかった。 「ひどいよ、かがみ……昨日一緒にゲマズ行こうって言ってたのに! みさきちとの約束を優先して!」 それはそっちの約束の方が先だったから……とかなんとか言おうとしたかがみだったが、血液が口内にも流れ込んできて言葉にならない。 ぐぼっ、がぼっと醜い音を立てることしか出来なかった。 「ずるいよ! 自分ばっかり、みさきちと幸せになろうなんて!」 あるぇー? なんか話変わってないかー? とかなんとかツッコもうとしたかがみだったが、目を真っ赤に晴らして自分を責めているこなたを見ていると、 なんかもう興奮の絶頂を通り越して新世界の神にでもなってしまいそうなエクスタシーを感じた。 (ふ、ふふふ……私は神、神なのよ……ああっ) ぶっしゃああああああ。 三度目の血液を鼻腔から放出し、かがみは力尽きた。 その表情は恍惚そのものであり、泉そうじろうをして「これぞまさに萌死にの体現だッ!」と言わしめるほどであったという。 ――その後、買い物から帰宅したつかさがかがみの亡骸を発見し、すかさず「ど、どんだけ~~!!??」とツッコミを入れ、 私今のツッコミちょっと上手かったよねエヘヘと一人で悦に入っていたのはまた別の話である。 終 コメントフォーム 名前 コメント なんという惨劇・・・ -- 名無しさん (2008-12-28 12 07 13)
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「こなた~、こないだ貸したフルメタの短編集、ちゃんと読んだ?」 「う、うん。結構面白かったよ。てか、かがみ顔近いよ?」 「でしょでしょ? 原作のラノベだってなかなか面白いでしょ?」 (だから顔が…って、聞いてないか) 「はい、これ次の巻」 「いいっ!?」 「ささっ、読書の秋。さっそく次行ってみよう!」 『目と鼻の先-Eye Don't Nose-』 「行ってみよー!」というかがみの勢いに負け、私はその場で本を開いた。 ペラリとページを何枚かめくり、とりあえずカラーイラストに目を通す。 (おおうっ!早速巫女かなめ♪相変わらず四季童子さんのイラストは可愛いなぁ…) なーんてことを思いながらちらりと目線を上げるとかがみのそれとぴったり合った。 じ~~~~~~っと言う擬音が聞こえてきそうなほど顔を近づけて、かがみは私の正面から こちらを見つめている。 上機嫌な笑顔に私の心音が跳ね、慌てて下を向く。 (うぅ、読みづらいやぅ…) 新たにページをめくり、読んだフリをしながらもう一度視線を上げる。 やっぱりいつものように両手で頬杖をつきながら、私の目と鼻先でニコニコとかがみは微笑んでいた。 私にラノベを薦める時、いつもこうやってかがみは私の傍にすごく近づきこちらをじ~っと見てくる。 「あの~かがみ?顔が…」 「ん?どした?もうボン太くん出て来た?」 「ううん、まだだけど…」 「ささっ、早く読もう!」 (んもう、こっちの気もしらないで! そんなに近くで見つめられたら、集中できるわけないじゃないか…) 再び本と向き合うが、やっぱり一文字も頭に入らない。 私はもう読むことを諦め、適当に文章を目だけでなぞり、ゆっくりページをめくっていく。 頭に浮かぶのは目の前のかがみの小さな唇。柔らかそうな『それ』は、かがみが いつも使っているリップのせいか潤いに満ちたまま軽い弧を画いている。 気のせいか、かがみに抱きついたりすごく傍に近づいた時にだけ感じる甘い香りもする。 (全く…かがみは無防備すぎだよ) もし私がひょいと顔を上げて首を伸ばせば、かがみが抵抗する暇もなくその唇を奪える距離だ。 かがみがすうっと息を吸い、唇が少しだけ開いた。 まるで空気とともに吸い寄せられるような感覚に私は思わず息をのむ。 『奪っちゃえって。かがみだって望んでいるからこうやって誘っているのかもよ?』 私の中にいる蛇がそう囁く。 (いやいや、蛇さんやそんな訳あるわけないじゃないですか。ってゆーか、それ何てエロゲ?) 『馬鹿だなー、かがみフラグなんて立ちまくりだって。間違いなくトゥルーエンド一直線。もう ゴールしてもいいんだよ?』 (いやいやいやいや!!最近のギャルゲー舐めちゃいけませんぜ蛇さん! トゥルーエンドと見せ掛けて カオス!ラブラブと思ってたらNTRエンドは当たり前! 空鍋、包丁、鉈、おはぎ!!) 『そ、そうなの?』 (そうなんです!) 『というか空鍋とおはぎって何?』 やれやれ、この蛇のギャルゲ歴は葉鍵全盛期で止まってるみたいだ。 (と、ともかくそんなこと無理なんだからっ!) 『ふーん…でも禁断の果実ってのは甘美な味だっていうけどな~』 (う゛~、もういいから引っ込んでなさい!!) 『はいはい、そうしますよ。それにしても、いつもは飄々としている風を装いながら 心の中じゃ焦りまくってるなんてかがみが知ったらなんて言うんだろうね』 ニヤリと――いつもの私のように笑って蛇は私の中に帰っていく。 (うぅぅ…) 図星を指されたせいか、私の心は何も言い返せないまま押し黙る。 頭の中ではかがみの唇と一緒にさっきの蛇の言葉がぐるぐる回る。 (禁断の果実…か…) 確かにそうかもしれない。 神様が食べちゃダメ!っと言ったのに蛇の囁きに負けてイヴが食べた果実。確かそれは リンゴだったと聞いたことがある。 そういえば、ずっと昔やった心理テストには「リンゴの味のイメージでファーストキスの味がわかる」 というものがあった。 望む全てのモノがあるエデンの園でイヴが食べた果実は『知恵の実』。 その実を食べて知恵をつけ、自分が裸であることなど様々なことを『知ってしまった』二人は 神様に楽園を追放されてしまった。 きっと私も、これを食べてしまったら『何かを知って』今の幸せはなくなってしまう… そんな気がして私は今までこの目と鼻の先にある果実に触れることが出来なかった。 多分、私は贅沢なんだろう。 好きな人が傍にいてこうして笑っていてくれる。私のダメなところを怒ってくれて、私の 度を超した悪ふざけも何とか許してくれる。居心地の良い場所を私にくれる。 こんなに幸せなのにそれ以上を求めてしまう。 ひょっとしたらそれを求めることで今の全てを失うかもしれないのに…。 でもそんな不安とは別に、私の中の蛇はどんどん大きくなっていく。 『――が私のことをどう思っているか知りたい』 あの果実に触れ、その中に満ち満ちた甘い果汁を吸ったら分かるかもしれない。 閉じた目を開けた時、――はどんな反応を見せるのだろうか。 今みたいに微笑んでくれるのかな? それとも…。 「ちょっとこなた、ちゃんと読んでる?」 「へっ?!」 こなたが我に帰るとかがみの顔が目の前にあった。 先程よりずっと近くにある『それ』にこなたの顔が真っ赤になる。 「よ、読んでますよっ?!」 「本当に? なんだか反応鈍いけど、どこまで読んだのよ」 「か『空回りのランチタイム』…かな?」 先程目次を見た時にチラリと目に入ったタイトルを挙げる。 「嘘つき、ページからしてまだ一話目じゃないの」 さすがは所持者、しっかり嘘がバレてしまった。 かがみは機嫌を損ねたように腕を組み、そっぽを向く。 「ううっ、そんなにマジマジと見られたら集中できないんだって…」 こなたがなんとか小声を絞り出すとかがみはこなたにずずいっと接近し、人差し指を立てた。 「それじゃ、この本貸すからちゃんと読んでおくように!」 「う、うん」 その返事に満足したのかかがみは立てた人差し指でこなたの額をツンとついて笑った。 「ちゃんと感想聞かせてね、ニブニブこなた」 こなたの目と鼻の先には、笑みによって細められたかがみの『目』がある。 それはこなたが知りたがっていた疑問の答えそのものなのだが…そのことを知っているのはただ一人。 God only knows…. 終 コメントフォーム 名前 コメント 禁断の果実のとこの描写が的確 -- 名無しさん (2024-04-02 23 11 02) GJ! -- 名無しさん (2022-12-21 11 15 01) 内容とアホなタイトルとのギャップ萌えwww -- 名無しさん (2009-09-05 00 41 10) 『神の味噌汁』と掛けてるだけじゃ? -- 名無しさん (2008-07-29 19 18 31) ↓かがみ『のみぞ』知る、じゃない?俺も最初勘違いしたが -- 名無しさん (2008-06-20 15 49 39) このSS、みぞ汁ってタイトルでいーのかよ… -- 名無しさん (2008-06-20 01 03 47) ↓猛るなww けど面白い!グッジョ~ブ! -- 名無しさん (2008-06-20 00 40 53) うわーうわーうわわわ!!!こなたが揺れてる描写が新鮮で…猛りました!! -- 名無しさん (2007-11-22 05 44 41)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/647.html
『問い』~こなた~ この気持ちは何なんだろう・・・? つかさが好き。 みゆきさんが好き。 これはきっと友達としてだよね・・・ かがみが好き。 これも友達として・・・? ううん。何か違う。 最近なんだかかがみのことが気になって仕方が無い。 私はいま、自分の部屋の真ん中で『そのこと』について悩んでいる。 ・・・なんでこんな気持ちになっているんだろう。 ゲームをしていても、 何をしていても、 頭の片隅にはいつもかがみがいる。 この気持ちは何なんだろう・・・? 自分で考えては答えの出ない自問自答を繰り返す。 じゃあ誰かに聞く? つかさ? ・・・なんかそういうのに疎そう。 みゆきさん? みゆきさんも疎そう・・・ ゆーちゃん? なんか聞きにくい・・・ 姉としての威厳(?)がそうさせる。 ・・・あっ 私は時計を見つめた。 針は既に午前2時を回っていた。 いつもならネトゲに勤しんでいる時間だが、 今日はそんな気分じゃない。 「・・・今日はもう寝よう。」 そう思い私はベットに入って目を瞑る・・・ 明日は日曜日で学校は休み。・・・って今2時だからもう日曜日か。 ゆっくり寝て、起きてから考えよう。 日曜日 いつも通り起きて、 いつも通り朝食を食べ、 いつも通り過ごしていたが、 ゲームなどはせず、 自分の部屋でぼーっとしていた。 「・・・なた」 「・・・こなた」 「こなたってば!」 「ふぇ?」 「『ふぇ?』じゃないわよ!」 声のするほうを見るとかがみとつかさがいる。 「あれ?かがみ?つかさ?なんでいるの?」 「あんたが呼んだんでしょ?」 「・・・あぁ」 「まさか、忘れてたわけじゃないわよね?」 そういえば昨日かがみやつかさと遊ぶ約束をしていたのをすっかり忘れていた。 「ごめん。すっかり忘れてた。」 「あのなぁ・・・」 「まぁ思い出したんだからいいじゃん♪」 「普通覚えておくだろう・・・というか一晩で忘れるな。」 「相変わらずかがみんはきびしいなぁ~」 昨日の悩みを隠すように振舞った。 「とにかく何して遊ぶつもりなの?」 「あぁちょっと皆でゲームをとね。」 「まぁあんたのことだからそんなことだろうと思ったけど。」 つかさが空気な気がするがとにかくゲームをやることにした。 ゲーム機を準備している間、沈黙が続く。 「それにしてもこなちゃんとお姉ちゃん仲いいよねぇ~」 空気がその沈黙を破った。 「まあ、そうかもね。」 ・・・あれあれ?かがみさん? いつもなら「別にそんなんじゃなんわよ」とかっていって 隣で私がニヤニヤしているんだけれど・・・ 今日はなんだかかがみも少し変だ・・・ それから少しして・・・ 「ねぇこなちゃん」 「ん~?」 「好きな人とかいるの?」 いきなり前振り無くダイレクトに来ますか。そうですか。 いや、人生ゲームやってましたがね。 「あ~、私も気になるわね。」 ちょっとちょっとかがみまで・・・^^; でも今、私がかがみに対して思う気持ちの正体がわかるかもしれない。 そう思い、 そのことを気になる人の前で話し始めた。 「ん~好きなのかどうかは分からないけれど・・・ なんだか気になる人はいるんだよ。 その人と一緒にいるとなんか安心するんだけど、 でも何でか分からないけど少し・・・なんというか なんか胸が締め付けられるというか・・・ ドキドキするんだよね・・・」 いろいろ省略はしたが、 今の悩みはすべて語った。 「ふぅ~ん」 そうしてつかさは私の話を聞いてくれた。 無論かがみも。 そしてつかさは少し考えた後、 「こなちゃん」 「ん?」 「それは『恋』だよ。」 「・・・」 何故か黙ってしまった。 でも、そういうことなんだよね・・・ 「それで?」 「ん?」 「誰なの?」 「い・・・言えないよ~」 その後のことはあまり覚えていない。 でも何故か空気だったつかさはおしゃべりになって、 何故かかがみは黙っていた・・・ その後いろいろあったがとにかくつかさとかがみは、家に帰っていった。 その後私は晩御飯を食べて、そのあとベットの上で ずっとつかさの一言についてを考えていた。 恋・・・か 私が・・・ かがみに・・・ 『恋』をしている。 今まで私は普通のオタク高校生として過ごしてきた。 百合とかはゲームとかも見たことがある。 でもまさか自分が同性を好きになるなんて思ってもいなかった。 もちろん今でも信じられない。 でもそれは、隠せない事実。 私はかがみに恋をしている。 それが今日分かったこと。 それが私が自分に聞いていた問いの答え。 私の頭の中での答え。 でも、 私の心にその答えはまだ出ていない。 告白しよう。 私は決心した。 そして私は眠りについた・・・ かがみに告白した時のかがみの答え。 それが私の心に対する問いの答えだから・・・ 『答え』~こなた~へ続く コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-03 06 46 26) 続編、お待ちしてます。 -- kk (2008-06-15 00 39 09) 空気だったつかさww -- 名無しさん (2008-06-14 21 33 14)
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「かがみとわたし」 ちゃんと告白したっていうわけじゃないんだけど、私とかがみは『恋人』だった。 それは先週、かがみと二人だけで教室で話していた時。ついかがみのことをからかい過ぎて怒らせてしまった。 その後、私はいくらかがみに話し掛けても、振り向いてくれなくて、しまいにはかがみが教室から出て行ってしまって。 私はあまりに悲しくて、胸が潰れそうになって泣いちゃったんだ。 いくら今「ごめんね」って言っても、かがみの耳には届かないのに。 だけど、かがみは教室に戻ってきてくれた。 泣いてる私を見て、「ごめんね」って言ってくれた。 悪いのは私なのに。泣かせてしまったことをここまで心配してくれるなんて。 私は、いても立ってもいられなくて、かがみに抱きついた。 わんわん泣きながら謝った。 なのに、かがみの方まで「ごめんね」って言ってくれた。 悪いのは私なのに。 しばらく教室で抱き合ったままでいた。 かがみの体はあったかくて、やわらかくて、私より大きくて、どきどきした。 ふと気付くと、教室内はきれいな夕日に照らされて… とてもロマンチックな気分になってしまって。 それが、私の中の何かを壊してしまったのか、 キスをしてしまった。 唇を付けてから「しまった」と思い、慌てて離れたけど、 かがみは顔を赤くしてびっくりしていたけど、 その後かがみは、「もう」と言いながら困ったように笑って、 私のほほをなでてくれた。 帰り道、私とかがみは手をつないで一緒に帰った。 私は手をつなぐのは恥ずかしかったんだけど、かがみは嬉しそうだった。 その時、私は「ああ、かがみと恋人になったのかな」って思ったんだけど、 何も聞けなかった。 ある日、かがみの家で、私と、かがみと、つかさと、みゆきさんの4人でお泊まり会をすることになった時。 私は、夜中に目を覚ました。 起きていたかがみが「眠れないの?」って聞いた。 私は「うん」と答えた。 「ちょっと話しよっか」と言ったので、私たちは下の階のキッチンへ向かった。 かがみが、麦茶を冷蔵庫から取り出している時、私は言った。 「かがみ、私のこと、好き、だよね?」 するとかがみは、恥ずかしがる様子も見せず、 「そうよ」 と言ってくれた。 私の中で、夕焼けの教室の光景が甦った。 「かがみ…」 小さな声で聞いた。 「なあに?」 優しい顔で、優しい声でかがみが答えた。 「キスしていい?」 「…いいわよ」 かがみが、ふっと笑い直して、言った。 私は背伸びしてかがみの顔に近づこうとすると、かがみの両手が、私の肩に触れて制止させた。 私が一端離れて、足のかかとを床に付かせると、かがみは膝を曲げ、自分の両手を膝の上に乗せて、私の背と同じ高さに合わせてくれた。 なんだか、親が子供に話を聞かせる時の姿勢みたいなんだけど、それでもかがみの顔は優しくて、 私より大きい姿に母性を感じて、だけど恋人なんだって思って、どきどきしちゃった。 私が、心臓を高ぶらせながら、気持ちを落ち着かせながら、顔を近づけ、かがみの唇に自分の唇を重ねる。 …ちゅっ。 一瞬のことだけど、確かに感じた。 かがみのあったかい唇。熱を持った体。 私はどきどきが止まらなくて、でも嬉しくて嬉しくて、困った表情をしながらも笑ってみせた。 息がうまく吸えないよ。こんなに緊張したことないよ。もう。 だけど、かがみは言った。 「…一回だけ?」 …かがみはずるい。 一回なら思いきってできるけど、二回目となるとキスの味を知ってしまった私には恥ずかしくてたまらなかった。 でも、かがみとキスはしたい。 かがみも私にもっとキスしてほしいと言ってるみたいだし。 私は顔を近づける。 さっきの倍以上、緊張してしまう。 呼吸がうまくできず、えらく熱を持った息が出てしまい、はあはあ、と息が漏れてしまう。 心臓がばくばくして、手や顔が震えてしまう。 表情まで作る余裕もなくて、それこそ切なくて悲しそうな顔になってしまってる。 だってしょうがないもん。恥ずかしいんだから。 もう一度、かがみにキスを …したいんだけど。なぜか、かがみのすぐ目の前で顔が止まってしまった。 どうして。どうして? 恥ずかしさのあまり頭がショートした? なんとかもう少し前に出て、かがみとキスをしなくちゃ。 かがみの唇はすぐ目の前だ。 だからすぐに ちゅ。 かがみの方からキスされた。 私はびっくりして目を見開いてしまった。 かがみの顔が…目を閉じたかがみの顔がこんな間近に…!? 全く予期せぬことに私の頭がパンクしそうになる。 顔を離して、ちょっといたずらっぽく笑ったかがみ。 私は、それがちょっぴり悔しくて、頭がかあっとなって、かがみの胸元をぽかぽか叩いた。 するとかがみは、スネた私をなだめるように、優しい顔で頭をなでてくれた。 子供扱いされてるみたいでちょっと悔しいんだけど、でも私はかがみにこういうことをしてもらうのが好きだった。 その時。 私は、気付いてしまった。 つかさが、赤い顔でにこにこしながら私たちのことを見ていたことを。 なのに かがみは 「もっと」 って言った。 ばれちゃうよ。 みんなに私たちのこと、ばれちゃうよ。 でも、私はうなずいてしまうんだ。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-22 21 27 52) 母性全開のかがみ。 まるで幼子のこなた。 最強コンビだな! -- 名無しさん (2013-02-02 14 53 02) つかさがいるけど続ける2人萌え♪ -- かがみんラブ (2012-09-23 15 24 00) うぁぁぁぁぁ…/// -- 名無しさん (2010-09-07 22 21 45) 凄い…甘い…//// 何か私もドキドキするw こなた可愛い…/// -- 猫 (2010-05-23 03 00 13) なんか こっちまでドキドキしました -- 名無しさん (2010-05-09 16 22 06) 行間の取り方うめぇwこなたらしい女の子らしさが全開だw -- 名無しさん (2009-03-18 09 21 26) もう この甘さで俺は萌え死にそうですww -- 名無しさん (2009-03-16 02 31 08) こなたが可愛い… -- 名無しさん (2008-11-14 13 56 52) 流石ですGJ! これからもいっぱいいっぱいやりたい放題やっちゃってくださいw とりあえず文章力ぷりーず^^; -- naniw (2008-11-01 16 33 57) デレで大人な雰囲気な、かがみに悶えた!!! -- チハヤ (2008-10-31 07 07 24) すっっっっごく良かったです! -- 名無しさん (2008-10-28 23 13 10) おかえり&GJ!またあなたのSSが読めて嬉しいです。 これからも甘々な2人をいっぱい書いてくださいね! -- H1-52 (2008-10-28 14 17 17) 甘いよ〜…甘すぎるよ〜… とりあえず、GJ!を連呼しながら、畳の上をごろごろ転がっておきます -- にゃあ (2008-10-28 03 14 14) 完敗だぁ…orz -- 名無しさん (2008-10-28 02 51 40) 強力すぎてニヤニヤとまらねぇ!GJ! -- 名無しさん (2008-10-28 01 47 58) くっはぁー!! 甘い、甘すぎるぜ旦那!w -- 名無しさん (2008-10-28 01 28 10)
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管理人注:作者さんからの前書きはこちらです 1 「拝啓 柊かがみさま 突然のお手紙で驚かれるかもしれません。不躾なことを先にお詫び致します。しかし、私は陵桜学園で過ごすこの最後の日を迎えるにあたって、かがみさんにどうしてもお伝えしておきたいことがあるのです。このことを決心をするまでには約二年もかかりました。それも、直接ではなく、このようなお手紙という形になってしまいました。さぞ意気地のない人だと思われるかもしれません。実際その通りです。私は臆病者です。ですが、これは私の、ない勇気を振り絞っての、最初で最後のお手紙です。少々冗長かもしれませんが、最後までお読みいただけると嬉しいです。 最初にお伝え致します。私は、かがみさんが好きです。クラス中の、学年中の、学校中の、いや世界中の誰よりもかがみさんを好きでいる自信があります。このお手紙には、その想いを全て詰め込んだつもりです。 私は、かがみさんを一目見たその瞬間から、現世にいながら至高天が垣間見えた気が致しました。稲妻にでも打たれたという表現が適当かもしれません。運命の出会い、などと形容すれば陳腐になってしまいますが、私にとってのかがみさんは、まさにそれだったのです。 かがみさんと私が同じクラスになったのは3年になってからでしたね。同じクラスになれたとわかったその日ほど、運命の神に感謝した日はありません。その日から、私の学校生活は大きく変わりました。明日またかがみさんに会える。かがみさんと一緒のクラスにいられるのだと考えるだけで夜も眠れませんでした。 椅子にかけて授業を真面目に聞いていらっしゃるかがみさん。お友だちの方と楽しそうにお喋りしているかがみさん。いや、何もせずにただそこにいるかがみさんでも構いません。とにかく、私はかがみさんの一挙手一投足に心奪われておりました。最初はただ一緒の空間にいられるだけで、心が満たされました。しかし、徐々に近づきたいと思う気持ちが押さえきれなくなっていったのです。3年生になってから、私がどれだけかがみさんとお話したかったか、どれだけあのお友だちの方たちが羨ましかったか、ここでは語りつくせないほどです。 それに、あの桜藤際でのチアダンス。これがこの世の光景かと疑いたくなりました。自分の認識している世界が信じられなくなりました。それほどにまで、あまりに美しいお姿でした。私は感動すら覚え、あの日のその後の自分の行動が思い出せないほどです。 一回だけ、たった一回だけですが、私はかがみさんとお話する機会がありました。覚えていらっしゃいますでしょうか。私は銃を突きつけられて忘れろと言われても絶対に忘れることができません。3年の、修学旅行のときです。 私は2日目の夜、かがみさんをホテルの前にお呼び致しました。正直に申しますと、そのときに、この気持ちをお伝えするつもりでした。ですが、もし断られてしまったら、私はこれから先、何を支えにして生きていけばよいかわからなくなってしまいます。もし断られたら…もし断られたら…そのことばかりが頭を巡り、ついにかがみさんへの想いを口にすることはできませんでした。それで、あの場では取り繕うように『人形を下さい』と言うに留まってしまったのです。 さぞかしご迷惑であったかと思います。本当であれば、私のような及び腰の人間がかがみさんとお話するなどということ自体がおこがましいです。身の程知らずです。とてもかがみさんに釣り合う人間であるとは、自分でも思えません。申し訳ありませんでした。 しかし、機会は逃してしまったものの、私のかがみさんへの想いは消し去ってしまうことができませんでした。あのとき頂いた人形は、今でもケースに入れて、大事に机の上に飾ってあります。この人形を見るたびに、かがみさんの笑顔が思い出されて、胸がいっぱいになります。かがみさんが私に語りかけて下さっている、そんな錯覚さえ起こさせるほどです。 あのとき、私はかがみさんと直接お話できるという至福を得ていました。事実、修学旅行が終わってからしばらくの間も、いえ、今現在もですが、私はかがみさんとのあのときの情景を思い返すことで、これまでの人生の中で最高の幸せに浸ることができます。 ですが、それは本当に最高の幸福ではありません。最高の幸福とは、かがみさんが私に振り向いて下さることです。 高校生活中は、私はかがみさんに何もして差し上げることができませんでした。私はかがみさんを好きでいられるという、この気持ちを存分に頂いたにもかかわらずです。こんな失礼な話もないかもしれません。唐突なことで大変失礼かとも思います。しかし、私はかがみさんの横に立てる人間として、精一杯努力してきたつもりです。大学も、超一流とは言えませんが、難関校と言われるところに入ることができました。もしかがみさんが私に振り向いて下さるなら、必ず幸せな将来を切り開いていくことをお約束致します。 このお手紙を読んで、かがみさんから私に何らかのご返答を頂けるようであれば、本日の卒業式が終わった後、午後1時に校舎裏の花壇の前にいらしてください。お待ちしております。もしお返事がノーであったとしても、私はこれまでかがみさんに頂いたこの気持ち、それだけでこれからの人生を乗り切っていけると思います。もう浮き足立った自分とは決別します。かがみさんにはかがみさんの人生があります。私と一緒にならないこと、それがかがみさんの幸せでもあると判断すれば、私はこれまでのことだけで、かがみさんを見送っていくことができると思います。 かがみさん。直接私と何かあったわけではありませんが、それでも、これだけは言わせて下さい。本当にありがとうございました。かがみさんのおかげで、高校生活がとても彩り豊かなものになりました。もっと早くに何か手を打って、かがみさんとこの幸せだった日々を共有できていたなら、と思うと残念でなりません。ですが、かがみさんが私を認めて下さるのであれば、まだ手遅れではありません。これからは、私が感じていた以上の、誰よりも幸福な生活を二人で送っていけると確信しております。 今後のかがみさんの人生にも関わる重要なことです。よくお考えの上、ご返答をお待ちしております。 では、長々と失礼致しました。午後一時、お待ちしております。 敬具」 2 …「敬具」っと…。 私はそこまで書いてペンを投げ出し、大きく伸びをした。 キーボードに慣れきっているせいで疲れる疲れる。おまけに私は悪筆なので、できる限り丁寧に書かねばならない。ほんとに神経を使うね、こういう作業は…。何枚書き直しただろう。ゴミ箱にはくしゃくしゃになった便箋が既に二桁はたまっている。これを始めてから2時間以上が経過していた。 まあでも、一応こんな感じかな? 誤字脱字がないかどうか最終チェックを入れる。 大丈夫のようだ。よし。これでいこう。 二枚の便箋を、用意してきた白い封筒に入れて封をする。あとはこれを明日の朝、かがみたちが来る前にかがみの机の中に仕掛けるだけだ。かがみ、これを読んだときどんな顔をするかな?今からちょっと楽しみだ。 思いっきりストレートに愛情表現を押し出したつもりだ。ラブレターなんて書くのは初めてだったから、どんなふうにすればいいのかかなり手探り状態だったけど、ネットに上がってるのを参考にしたりして、なんとか形にはできたと思う。自分で書いといてなんだけど、これならかがみも引っかかってくれそうな気がする。ネタに使わせてもらったあの男子には悪いけど、えーとあれだよ、どうせもう卒業なんだし、いいよね?私が知ってる、かがみと関わりのありそうなC組の男子ってこの人しかいないし。 今私が何をしてるかというと、かがみへの偽ラブレターを書き終わったところだ。差出人の名前は私ではない。「とある男子より」にしておいた。フルネームを知らないので仕方ない。みさきちにでも聞いておけばよかったな…。 なんで卒業式を明日に控えた今日になってそんなことをしているかというと、それは勿論かがみに最後のイタズラをするため…。 でもあるんだけど、けど、もう一つ、伝えておきたいことがあったから。 かがみはあの日、私がかがみに想いを伝えた日から、いやその前からずっとなんだけど、私を支え続けてくれた。私が寂しくないように、一人でも生きていけるようにって、それでこんな私の側に居続けてくれた。そして、かがみはこうも言った。私がかがみを必要としなくなるくらいにまで成長してくれるのが何よりだと。 この偽ラブレターはかがみへのお礼と、私の今の気持ち。かがみがしてきてくれたことへの私なりの答。 そういうこと。 3 次の日。実行日当日。 いつもより一本早い電車で学校へ向かう。 首尾よく3-Cに潜入した私は、周りに見知った顔がないことを確かめてから、かがみの机に例の物を仕掛ける。かがみ…読んでくれるかな?これだけ手間暇かけたんだから、読んでくれないとかなりへこむんだけど…。 しばらくして、かがみたちがやってきた。 私は何食わぬ顔で朝の挨拶をする。 そして卒業式。 つかさやみゆきさんは、やっぱり泣いてたね…。こう…感極まるとこもあるんだろうとは思うよ?でも…。 「いやー、不思議なカンジはするけど、思ってたより特別感動することもないねぇ。卒業式って」 思った通りを口にしてみる。私、卒業式の記憶って妙に薄いんだよねー…。 「まあそんなもんでしょ。その辺りは人によると思うけど。私はそれなりにジンときたし」 みゆきさんはつかさの涙をぬぐってあげてるところなので、かがみが答えてくれた。かがみの方は割りといつも通りだ。…ということは…もしや…。 「だってほら、漫画とかだと卒業式って『感動のクライマックス!』ってカンジじゃん?何かあるかもって期待しちゃうんだよね――。何かこの調子だと、また数年後にはよく覚えてなそうな気が…ネ?」 こういう言い方ならどうだ? 「突っ込みたいところだけど――言われてみると私も小中の式自体はあまり覚えてないような――。あれ?その後皆で遊んだのは覚えてるけど」 …かがみ、変化ナシ。おいおい…ちょっと待ってよ…。 「そんなこんなで何か拍子抜けなカンジでねぇ」 「だからそんなもんだって」 いつも通りに返してくるかがみ。 つかさも涙を拭きつつあははと笑う。 まだだ…まだ終わらんよ! 「こう『卒業式の日に告白――!!』みたいなイベントはないもんかね」 「あんたはそういうのに毒されすぎだ…。そーゆートコだけは夢見がちだな」 もう…気づけかがみんめ! 「…ところで皆様、今日この後のご予定は?」 「急になによ。今日はこのまま家族で外食ね~」 「うちもそうですねぇ」 「…そっかー」 …確定。かがみ、机の中見てない。 しかも、このままいくと見ないで帰る可能性大。 …うー…。 …私のあのがんばりは何だったの?あれだけ頭フル回転させて何枚も何枚も書き直して…。大好きなかがみのために…やったのに…。 もうこうなったらしょうがない。リスクは覚悟の上だ。 「かがみさー、実はラブレターとかもらったりしてんじゃないの?」 「はぁ?何言ってんのよ?」 かがみが怪訝な表情をつくる。 「だってさー、卒業式だよ?もうお別れなんだよ?かがみくらいツンデレでツインテっ娘でツッコミキャラで成績優秀で照れ屋で寂しがりでお人よしでかわいくて…絶対かがみのこと好きだったって人、一人くらいはいるって」 「…本気で言ってんのか?」 部分的に本気だ。 でもそれは悟られないようにする。 「勿論!だからさー、例えばー、下駄箱とか…机の中、とかにこっそり置いてあったりしたんでしょー?」 「…ないものはないわよ。それに、…そんなのあってもあんまり嬉しくないし」 「またまたー!照れちゃってー!ほんとはもらっちゃってるんでしょー?で、今はもう何て返事しようか頭の中ぐるぐるなんでしょー」 「何よ…食い下がるわね…」 …これだけ言えば伝わったかな? いや、念のためもう一押し。 「もらってないのー?だったらさ、帰る前にさ、もう一回色んなトコ見て回った方がいいかもよー?だって、その人の一世一代の大勝負なんだよ?断られたならまだしも、無視されました、じゃあんまりだと思わない?」 「…それはそうかもだけど…」 かがみがだんだん心配顔になってきた。 …そろそろか。あんまりやりすぎると、余計な手間かけさせちゃうしね。 「ま、そんなわけだから。よし、教室戻ろっか。つかさ、みゆきさん」 「あ、そうだね」 「もう最後のホームルームが始まりますね。では、参りましょうか。かがみさんも」 「え…ええ、そうね」 かがみがちらっと私に視線を走らせる。 私も少しだけ見つめ返す。ちょっと笑みをつくって、すぐにまた前を向いて歩き出す。 かがみがそれをどう受け取ったのかはわからないけど、かがみもすぐに目線を外した。 かがみ…ちゃんと見つけてね?読んでね?お願いだよ…。 4 さて、何事もなく家に帰ってきてしまったわけだが…。 かがみ、見つけてくれたよね?見つけた筈だよね?私が「一緒に帰ろ」って言ったら、「ちょっと用事ができたから」って言ってた。「ある」じゃなくて「できた」って言った。多分、手紙を読んだんだよね…?そうじゃなかったら…うう…やっぱへこむなー…。私も学校に残って確かめるべきだったかなー…?でも、伝えることはちゃんと伝えておきたいし…だったら、あの手紙だけで十分だよね…? 制服のまま自分の部屋のベッドに転がりながら、ぼんやりと時計を見る。 あ…もうすぐ一時だ…。かがみ、今頃校舎裏にいるのかな…。どんな顔してるんだろ…。あの男子のこと、ずっと待ってたりして…。ふふ、かがみだもん、日が沈むくらいまでは待ってそうだよね…。 そのシーンを直に見られないのが、ちょっと残念…。 不意に、携帯が鳴った。 ちょっと気だるい身体を起こして机の上の携帯をとる。 メールが来たようだ。今頃誰かな…と思ってみてみると、かがみからだ。 一瞬息がつまる。かがみ? 本文を読むと、たった一行、こう書いてある。 『今すぐ校舎裏に来て』 …えと、これは…どう解釈すればいいんだろう?色々考えられるけど…。 まあいいや。他ならぬかがみが呼んでるんだもん。行かなきゃ。 お父さんに「もっかい学校行ってくる」って言ったら妙な顔をされた。そりゃそうか。「忘れ物か?それとも先生からなんか呼び出しでもあったのか?…待てよ…もしかして…いや、こなたに限ってそんなことは…でも、こなたすごくかわいいし…今日は卒業式…そして皆が帰った後に一人で呼び出し…まさか…万が一ということもある…こなた!待ってくれ!父さんも一緒に行く!何かあってからじゃかなたに申し訳が立たない!」などと言い出したのではぐらかすのに苦労した。まあ、最終的には勝手に一人で妄想にはまりこんでしまい、「こなたああああ!父さんは!父さんはあああ!見捨てないでええええ!」とか頭を抱えて泣きながら叫び、部屋中ぐるぐる回りだしたので、ゆーちゃんがとりなしているその隙に逃げ出したような感じになったけど…。 後でちゃんと説明しとこう…。このままだと「何かあった」が既成事実化されかねない。 こんなに早くもう一度陵桜学園の門をくぐることになるとは思わなかった。かがみ…どれくらいわかってくれたのかな?ちょっとでも伝わってれば嬉しいんだけど…。 校舎裏へと足を運ぶ。まだ日は高い。ようやく春めいてきて、制服越しに感じられるお日様の光がちょっとぽかぽかして気持ちいい。さてかがみは…と。 校舎裏。滅多にこないけど、ここで怪しげな取引が行われているとかいないとかいう噂はよくきく。それだけ人目につかないってことなんだけど…。 校舎の影とひだまり、そのちょうど境目辺りに、人が一人、ぽつんと立っているのが見えた。見慣れた制服、見慣れた髪型、見慣れた後姿…かがみだ。間違いなかった。 「はろーかがみー。来たよー」 肩を叩きながら、できるだけいつもの声を出す。かがみがどんな反応をしてくれるのか…ちょっぴり不安。これで全然見当違いのこととか言われちゃったら…ねぇ?私たちの今まで過ごしてきた時間は何だったの?ってことになる。でも、だから逆に少し楽しみでもある。 かがみ…。どうしたの?何考えてるの? 「こなた…」 かがみが振り向いた。いつもの顔…?じゃないね?あれ?なんか違う…。 「…あのさ…」 何かを言いかけるが、その後が続かない。 「…えっと…」 「ん?どしたの?かがみ…」 しばらく、沈黙が続いた。 「ごめんっ…!」 それを破ったのはかがみだった。 それと同時に私をぎゅっと抱きしめてきた。 いきなりのことでちょっとびっくりする。 「か、かがみ?」 「ごめん…ごめんね…」 かがみは謝り続ける。私の方は正面から抱かれているので表情は見えない。 ただ、ほっぺたに暖かい雫が落ちたのがわかった。 かがみ…泣いてる? 「かがみ?どうしたの?」 かがみの背中を撫でながらゆっくり問いかける。 「あの…手紙くれたの…こなただよね…?」 かがみが途切れ途切れに言葉をつむぐ。 ばれてるなら隠してもしょうがない。正直に言おう。 「うん。昨日がんばって書いたんだよー…」 かがみ、わかっててくれた…。…嬉しいな…。 「じゃあさ…こなたの今の気持ち…私の考えてる通りで…いいんだよね?」 …全部わかってくれてる? ほんとに? 「多分そうだと思うよ…」 「そっか…。でも、ちゃんと言わせて。あんな手紙くれたのは…今のこなたの気持ちは…」 そう、今の私の気持ち。あの手紙いっぱいにこめた私の気持ち。 かがみは、あの日からも私が一緒にいたいと言うといてくれた。本当にあの日言ったように、一晩中話し通したこともあった。手をつないで同じお布団で寝てくれたこともあった。私なんかのために。 そのおかげで、私の寂しいって思いは、陵桜学園に入った頃に比べれば殆どなくなったと言えるくらいにまで薄まっていった。かがみがいてくれた。かがみがずっといてくれたから。だから、これから先、何があっても、私の中にかがみがいてくれるなら、一人でも生きていける思う。もし私が心細くなったとしても、『ほら、そんな顔してないで。私が一緒にいるから』ってかがみが言ってくれる。笑いかけてくれる。私にはその声が聞こえるよ。 もう大丈夫だよ。 かがみがいなくても、私、大丈夫だよ。 今まで一緒にいてくれてありがとう。 かがみからもらったこの気持ち…支え、強さ。ちょっとでも伝えたいな。 またいつか会える日まで、お互い、がんばろうね。 「…てことだよね?」 かがみ…すごい…。ここまでわかってくれてたなんて…。 「さすがだね…。大当たりだよ」 「なら…やっぱり…ごめん…」 かがみがそう言って、もっと強く抱いてきた。 「ち、ちょっと、かがみ?…いつもより…強いんだけど…」 でもこれはこれで…こうされるのも悪くないね…。 いいにおいと優しい温もりに包まれる。 かがみ…。 かがみは返事をしない。 ただ、泣いている。 「…何がごめんなの?」 たっぷり間を空けて、かがみが口を開いた。 「…今してること、全部…。私がこんなんじゃ…いけないよね…。こなたはちゃんと…気持ちの整理つけてきたのに…私は…こなたが…」 …そっか。そういうことか。 「かがみ。さよならなんて思わないで。あの日言ったよね。私、ずっとかがみのこと好きでいられるから。かがみがいなくても、ずっとかがみが好きでいられるから。だから、大丈夫だよ」 「うん…ありがと…」 かがみが腕を解く。 そして、私を正面から見る。 まだ目は赤かったけど、でも、しっかりした視線だった。 「あのね、本当は呼ぶはずじゃなかったの。この手紙がこなたからだってわかって、こなたがどんなつもりでこれ書いたのかなって考えてからは…私と会ったりしたら、その気持ちに水を差すことになっちゃうし…。でも、どうしても、伝えておきたかった…。まだ私…自分がどうしたいのかわかんないけど…それでも」 ちょっと息を吸った。 それから、泣きながらだったけど、笑ってくれた。本当に、心から。 「こなた…卒業、おめでとう…。よくがんばったよね…。私…とっても嬉しいよ…」 「ありがと…。なんか、正面から言われると、照れちゃうね…」 照れ隠しにちょっと微笑む。 「私は…ほんとは、あの日に皆と…こなたとお別れするつもりだった。けど、こなたが正直に思いをぶつけてきてくれて…それで、もうちょっとの間だけど、また一緒に過ごすことができた…。なくなったはずの時間…過ごせないはずの時間…それがまたできて、それで、こなたもしっかりしてくれて…もう私からこれ以上望むことなんて何もないよ。これまでのことで、十分幸せ。まだあるとしたら…これから先、いつかまた、こなたと同じ時間を、過ごせるようになること…かな。だから、そのときまで…こなた…」 「かがみ…」 今度は私の方から抱きしめてあげる。かがみも私に腕を回してくれる。 ちょっとの間そうした後、私たちは最後に、一回だけ軽いキスをした。 唇がほんの少し触れるだけ。 でもそれでも。私たち、ちゃんとわかってるよね…? 私はかがみのこと、よくわかってる。 かがみも私のこと、全部わかってる。 だったら。これが、一番なんだよ。 ただただ、嬉しかった。 こんなにも想いが通じあってるって思えることなんてないだろう。 かがみは私の一番。 私はかがみの一番。 けど、くっつくんじゃなくて。 離れるのでもなくて。 そんな距離を、つくっていきたいな…。 5 帰りの電車の中で、かがみと最後のお話をした。 「そういえば聞いてなかったけど、あんたさ、何学部に入ったのよ?さすがに『団長』とか『何とか神拳伝承者』とかいうのじゃないだろうな」 「ん、そりゃまあね。教育学部だけど」 「教育?先生になるつもりなの?」 「いやー…それはちょっと…人間関係とかめんどくさそうだし…。それに私、お父さんみたく、ロリコンてわけじゃないし」 「先生の全てがロリコンだと思うなよ…。じゃ、なんで教育なのよ?」 「いやね、色々調べてたら、教育学部には新課程ってのがあって、ここに入ると先生にはならないけど教育の勉強ができる、みたいなのらしくて。私もさ…人を支えるってことがどういうことなのか、もうちょっと知りたくなって…。そういうとこから考えていくことが、私がかがみを好きな理由に向き合うことに繋がるんじゃないかと思って」 「…そっか…」 「うん。さすがに法学部とかは手が届かなかったんで、これにすることに決めた。でも、なんだかんだいっても陵桜はさすが進学校だよね。勉強真面目に始めたのはあんな遅い時期だったのに、私みたいなのでもそこそこの大学には入れたし。教育学部なのに先生にならないわけだから、就職は大変そうだけど。ちゃんと勉強してみてからじゃないとなんとも言えないけど、まあ、いざとなったら先生にもなれるみたいだし、なんとかなるでしょ」 「…あんたは…そんなゆるい感覚で大丈夫なの?」 「当たり前だよ!かがみには色々お世話になったからね。今度は私に頼ってもらえるくらいにまで、がんばるよ」 「…わかった。それならもう、ほんとに心配いらないみたいね」 「はっはっは。かがみんも人のことばっか言ってないで、がんばんなねー」 「わかってるわよ!それと最後までかがみんか!」 降りる駅が近づいてくる。 けど、私たちの間には、笑顔だけが、花開いていた。 そして、最後の瞬間。 私は笑って大きく手を振る。 かがみも笑って返してくれる。 「かがみー!じゃ、またねー!」 「うん!またね!」 電車が視界から消えていく。 私は完全に見えなくなるまで、ずっと手を振り続けていた。 大好きなかがみ…またね。 今まで一緒にいてくれてありがとう。 またいつか会える日まで、お互い、がんばろうね。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-08-22 21 47 37) もうだめ・・・モニターが見えん!! -- kk (2010-03-13 22 57 26) 泣いた; -- 名無しさん (2010-03-13 14 38 45) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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こなたを泣かせてみたい。 それは人間なら誰しもが一度は抱く願望ではなかろうか。 え? ない? ああそうですか私だけですか。 ええそうですよ、どうせ私はこなタ(注:かがみの造語で『こなヲタ』の略)ですよ。ハイハイ。 ……なんて自己弁護だか開き直りだかはさておき。 こなたを泣かせてみることにした。 きっかけは、つかさがぼんやりと放った一言だった。 「そういえば、こなちゃんが泣いてるとこって見たことないよね」 確かに言われてみればそうだった。 つかさの泣き顔なら昔から何度も見ているし、みゆきも前に一緒に行った恋愛物の映画を観たときに泣いていた。 でも、こなたの泣き顔だけは未だかつて一度も見たことがない。 それなら、一回くらい見せてもらってもバチは当たらないわよね?……ね? うん。大丈夫。そもそも私神主の子だし。 ちょっとくらい羽目外しても神様も大目に見てくれるはずだわ。 勘違いしてもらいたくないのだが、私にはこなたを苛めたりする趣味はない(多分)。 ただ、上述のつかさの一言を聞いて、こなたが涙目で「かがみぃ……」とか言って上目遣いで見上げてくるのを幻視してしまった以上はなんていうかもう辛抱たまらんのです本当に申し訳ございません。 ……という訳なので、こなたには悪いと思いつつもこなたを泣かせてみることにした。 ごめんね、こなた。 後でアメちゃん買ってあげるから許してね。 「おはよー、かがみ、つかさ」 そんな不埒な計画を頭の中で練っていたら、何も知らない可愛い子猫ちゃんが目の前に現れた。 やっべなんかテラ興奮してきた。超ハグしてぇハァハァ。 なんて内心を微塵も見せることなく、私はいつも通りに挨拶を返す。 「おはよう、こなた」 さて、肝心の計画だが……実はもうほぼまとまっている。 後は機会を見て実行に移すだけ、といった按配だ。 「? どうしたの? かがみ」 流石は私のこなた。瞬時に私の異変を察知したわね。 私は即座にこなたを抱え上げて街中を疾走したい欲求を堪えながら返事をする。 「ん、別になんでもないわよ」 ここでいかにも『本当は何かある』的な雰囲気を醸し出すのがポイントだ。 言うなればこれは疑似餌みたいなもの。 「ふっふーん、さては恋の悩みかな?……かな?」 釣れた! てか食いつきよすぎだろ常考。 いや落ち着け。落ち着け私。 ここで焦っていつものような対応をしてしまっては元の木阿弥。 慎重にいかないとね。 今、こなたが期待している私の返答はおおよそこんなところだろう。 『な、何言ってんのよ! んなわけないでしょっ///』 そうやって照れる私を見てニマニマするのがこなたの目的。 でも、私の目的はこなたをニマニマさせることではないので、今回ばかりはこなたの期待を裏切らせてもらう。 「うん……実はそうなのよね」 なるたけ真顔で、でも少しはにかんだ表情で。 いかにもセンチで乙女な雰囲気を出してみる。 すると、どうだろう。 こなたが……あのこなたが! 「え………」 目を丸くして、不安と驚きと寂寥を溜め込んだ表情を作ったではないか! ああアカン、これだけでご飯三杯はいけるわ。 でも、私の目的はまだ達成されていない。 ごめんねこなた、もうちょっとだけ、私のワガママを許してね。 後でいいこいいこしてあげるからね。 「そ、そうなんだ……」 ああ、こなたは見るからに落ち込んだ様子で、心なしかアホ毛までしおれている。 ぞくぞくとした快感が背中を駆け巡った。 やばい、たまんないわこの背徳感。てゆーかこのこなたの寂しげな表情。 もうなんていうかくぁw瀬drftgyhこなたlp;@ 「お姉ちゃん好きな人いたんだ~。知らなかった~」 危うく幻想郷にタイムリープしかけた私を、つかさがのん気な声で引き戻してくれた。 グッジョブつかさ。流石は私の半身だわ。 とりあえず内心を気取られないように、努めて平静に返事をする。 「ああ、うん。まあ、ね……」 いかにも含みを持たせた感じで。 すぐさま、ちらっと横目でこなたの反応を伺う。 「…………」 さっきよりも一段と暗い表情になり、目は伏目がちになり、いつもの猫口も消えている。 アホ毛と鼻先がくっつきそうだ。 ごめんねこなた、もうちょっとの辛抱だからね。 後でたかいたかいしてあげるからね。 その後、つかさが色々と聞いてきたので、私は嘘だとばれないよう慎重な配慮をしつつ、かつ間接的にこなたの泣き顔を誘発するような応答に終始した。 しかし、こなたはずっとしょんぼりしてはいたものの、結局最後まで涙は見せなかった。 むーう。思った以上に手強いわね。 そう思ってこなたの方を向くと、こなたは「いかにも無理してます」みたいな作り笑いを私に向けて。 「……頑張ってね。かがみならきっと大丈夫だよ」 多分つかさがいなかったら、私はこなたに襲い掛かっていたと思う。 この時のこなたの儚げな笑みには、それくらいの破壊力があった。 そんなこんなで、お昼休み。 B組に来た私を見て、こなたは一瞬、安堵した表情を浮かべた。 そんなこなたを見ると胸がずっきゅんとして、また理性が飛びそうになった。 でもまだだ。 ここで計画を頓挫させては画竜点睛を欠くというもの。 私は心を鬼にして、普段どおりの口調で言った。 「皆、悪いんだけど、こっちでお昼食べるのは今日で最後にするわ」 「え」 こなたがチョココロネを落としかけたので、音速度の反応でそれをキャッチしてやる。 「はい。こなた」 「あ、ありがとう……ていうか、かがみ、今の……冗談だよね?」 「ん? 何が」 「いや、その、こっちでは食べるのは最後、って……」 「ああ、本当だけど」 あくまでもさらっと。 そう、例えるならこなたの美しい青髪の如くに、さらっと。 「…………」 お、おおお! こなたが、こなたがふるふると小柄な身体を震わせ始め、その愛くるしい瞳にはうっすらと……涙が! や、やばい。もう死んでもいいかも。 い、いや駄目だ。 堪えるんだ。 しかし……。 「お姉ちゃん、ど、どうして?」 つかさもつかさで、不安そうな顔で尋ねてくる。 胸がちくりと痛んだけど、ここは我慢だ。 「うん……ほら、今朝のあれ」 「あれって……お姉ちゃんに好きな人がいるって話?」 「そ。ちょっと勇気出して、手作りのお弁当でも持って行ってみようかなって。だからさ、その……」 我ながら神的に上手い言い訳だと思う。 「……そうなんですか。それでは仕方ないですね、頑張ってください」 みゆきが温かい笑顔で励ましてくれる。 これはこれで良心の呵責に苛まれるわね……。 と、少しばかりの懺悔心に囚われかけたそのとき。 「……ふっ…うっ……」 その微かな嗚咽を、私は聞き漏らさなかった。 光速度の反応で振り向くと、そこには。 「う……うぅっ……」 こなたが、泣いていた。 大きくてつぶらな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれている。 口は一文字に結んではいるものの、そこから漏れ出す嗚咽を抑えるには至っていない。 いつもはピンと張ったアンテナばりのアホ毛も、いまや完全にしんなりしている。 「ひっく……うっく……」 今まで一度も見たことのない、こなたの泣き顔。 幼い子が、お母さんとはぐれて泣いてしまった時のような、そんな泣き顔。 それはとっても儚げで悲しげで、でもでもとっても可愛くて。 もう……駄目だ。 堪え切れず、私はこなたを抱きしめた。 「……か、かがみ……?」 「ごめんねこなた。今の、全部ウソ」 「ふぇ?」 「ちょっと、からかってみたかったのよ。こなたを」 「しょ、しょんな……ひどいよぉ、かがみぃ……」 涙目で 上目遣いで 見上げてくる こなた。 ……それが、私がその日のお昼休みで最後に覚えている映像だった。 その後のことを聞くと、今でもつかさは口をつぐんでしまう。 「知らない方がいいと思うよ。お姉ちゃん自身のためにも……」 その苦笑いが何を意味するのか、私にはよく分からなかった。 その日を境に、こなた、つかさ、みゆき以外のB組の人達から奇異な視線を向けられるようになったことと、何か関係があるのだろうか。 でもまあ、そんなことは既にどうでもよかった。 何故なら私は、あの日ついた嘘の通り、お昼をB組で食べることはなくなったから。 そう。結果的に、自分の欲望を実現するためだけについたあの嘘が、今では現実のものとなってしまったのだ。 いわゆる嘘から出たまことってやつだ。 そんなわけで、私はあの日以来、手作りのお弁当を持って行くことになっている。 私の大好きな人のところへ。 終 11-307氏によるイラスト化した作品はこちらです。 泣きこなた コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-15 17 59 54) 好きな人ができたって嘘が現実になったんなら…こなたとくっついたんじゃないのかな?男とは言ってなかった気が… -- 名無しさん (2010-05-10 00 28 34) ↓B組では気まずくなったので、こなたと屋上とかで二人で食べるようになったのでは? -- 名無しさん (2009-09-07 14 21 27) これって結局、かがみに男が出来たって事? いや、あの嘘がってことは『男がいる』ってことだから、こなたではないよな? -- 名無しさん (2009-09-07 00 27 13) こなた&かがみがいちゃいちゃ屋上でご飯食べているところに、「そおぉぉぉおい!!!」とかいいながら全力でヘッドスライディングをしたい。 -- 名無しさん (2009-08-21 19 56 17) うん、こんなこなただったらかがみんが野獣化するのは仕方ないよね。 -- 名無しさん (2009-02-12 20 16 59) そんなかがみを泣かせたい僕がいる -- 14 (2009-02-10 17 14 56) GJ 冬コミで誰か描いてくれないかなw -- 名無しさん (2008-10-21 01 53 35) かがみ変態すぐるww泣いちゃったこなた萌え☆ -- 名無しさん (2008-09-25 23 33 35) やっぱしかがみはドSで変態だなwwwwwwだがそれがいいwwww -- ハルヒ@ (2008-09-16 22 59 19) ドS変態かがみとか救いようがありませんw -- 名無しさん (2008-09-07 11 51 17) へんたいかがみさんがドSになったらこんな感じだろうな いや本家へんたいかがみさんはドMだけど -- 名無しさん (2008-09-07 09 18 21) 是非その時のB組に居合わせたかった。GJ!! -- 名無しさん (2008-09-04 21 49 41) それはもちろん性てkry -- 名無しさん (2008-09-03 18 27 48) GJ!! 俺に画力さえあれば、泣いちゃった可愛いこなたんを描くのだが…(滝涙 ところで、かがみが記憶を無くしている間、なにがあったのでせうかね…? -- 名無しさん (2008-09-03 11 03 55) なんだ!?この破壊力抜群のこなたはww 可愛すぎる それにしてもかがみドSだな こなたは深いところでMっぽい気がするw -- 名無しさん (2008-09-02 08 04 03) たまらんね。これはたまらんねw あと、かがみの内心がおもしろすぎるw -- 名無しさん (2008-09-01 01 12 25) かがみ、ドSだwそれにしても、泣きこなたの可愛さは異常。「しょ、しょんな……ひどいよぉ、かがみぃ……」と子供のように泣き出してしまうこなたがもう可愛すぎるっっ…! -- 名無しさん (2008-08-31 23 55 07)
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こなたに彼氏が出来た。それはかがみにこなたが好きであるという事実を与えたが、英知は与えなかった。 具体的になにをすればいいのか、かがみにはわからなかった。 強引に別れさすのは人としてどうかと思うし、意外とべた惚れのこなたたちに魔が差すのを待っているしかなかった。 (だけど、なんとなくそれは寂しいわ) 自分の卑しい心があるのを感じて、かがみは寂しくなった。友達なんだから別離を応援してどうするのだ。 四面楚歌だ。心に正直に生きるって難しい。 強くなると誓ったはずなのに戦うって決めたのに、なにも出来ずにいる。 だから、今日も下を向いてしまうのだ。こなたのいない帰り道を歩きながら。 登校時や昼食時には、こなたはいた。しかし、どれだけ近くにいても遠い存在だった。 かがみは、平常心をなんとか保ちながら、みんなと話をしていた。それでも、いくらかはへまをした。 たとえば、急にぼーっとしたり、急に泣きたくなったり、その症状は様々だった。 誰もかがみに対して変だとかおかしいとは言わないが、うすうす気がついているのではないだろうか。 日に日にこなたは幸せそうになるが、かがみは辛くなっていく。 実際に、かがみは押しつぶされていたのだ。自分の気持ちと現実との間で。 しかし、それを感じ取った人がいた。 こなたは、かがみが日に日に少しずつおかしくなるのを感じていた。 なにかに耐えているような、そんな感じ。今まで、彼氏のことがあったため、その関連だろうかと思っていたが、つかさやみゆきはそのショックから復活しているのに、かがみだけが相変わらずなのである。 それに彼氏が出来たことで、かがみがそれほどまでに落ち込むことがあるのだろうか。嫉妬とかはあるだろうけど、そんな間接的なこと忘れてもいい頃合のはず。 (おかしい) こなたは、今日彼氏が用事で放課後一緒に帰れないのをきっかけにかがみと一緒に帰ろうと思った。 聞かないまでにしても、慰めることぐらいはできるはずだと考えたからだ。 「おおい、かがみ帰ろう」 「え、でも、彼氏と一緒に帰るんじゃないの?」 「なんか用事があるらしいってさ」 「そう、それじゃ、つかさも呼んで」 と、かがみはつかさを探す。 「あーそうそうつかさ、なんか職員室に呼ばれてたよ。先に帰ってて、だってさ」 「まったく、あの子たらなにをしたのやら」 ため息をつく、かがみ。でも、嬉しそうだ。 「よーし、それじゃ帰ろう!」 かがみは、こなたの申し出が嬉しかった。好きな人と一緒に帰るというのは、新鮮であった。たとえ、それが今までの日常であったとしても。 「いやーほんとに……」 こなたは一方的に彼氏の話題をしゃべる。 本当にこなたは楽しそうだと、かがみは考えると、自分が嫌になりそうだ。 (宣戦布告、戦い、強さ、本当にそれらは必要だったのかしら) やはり、それらはこなたの幸せを思うと、行使できない力だった。 かがみはずっとずっと、考えていた。だけど、その考えは、自分を幸福にする思考でしかなかったのではないか。 そう思考の深みに入りかけた時、こなたは下を向いて少し寂しそうに、 「最近、かがみ変だよ」 「え」 「そうやって、悲しい顔をしたかと思えば、ずっと考えたり、なにか悩みでもあるの?」 こなたの寂しそうな顔をして、やっぱり同じようにかがみも寂しそうな顔をする。 「べ、別にない……わよ」 ここで、すべてを吐露してもよかったのかもしれない。でも、それだと台無しになってしまうから。こなたの幸せが。 「そう」 こなたは依然、寂しそうにしている。 (私がいたらダメになる) こなたの表情を見ながら思った。 (私のせいでこなたが不幸せになる。それなら私なんかいないほうが……) かがみは走り出した。こなたはそれを見て、驚いている。それでも振り返らずにかがみは走った。 (私はこなたと会ってはいけない。だって私は……) どこかの公園のブランコに乗りながら、かがみは息を切らしている。こなたの顔も、こなたの体も、こなたの心も、でもそれ以上に好きだったこなたのことを忘れなくてはいけない。 あの日、確かに強くなると誓った。だけど、強さはいつからか忍耐力へと変わっていくのだろう。そうやって、ブランコのように揺れる心も、今は停止させて、ただ忘却に放り出さなくてはいけない。 もしかしたら、最初から強さなんて必要なかったのかもしれない。ただ、諦める強さだけ必要だったのかもしれない。 (諦めよう) 最初からそうしていれば苦労はなかったのに、とかがみ自嘲気味で思う。 (諦めることで全てがよくなるのなら……) 「かがみ……」 声が聞こえる。それは心からでもなく、まして天からでもない。目の前の少女からである。 「……こなた」 目の前の少女は髪を乱し、息を切らしていた。 「こなたっ!」 探してくれたんだと思うと急にかがみは泣き出した。 そんなかがみを見て、こなたは少しだけ困っていたが、やさしく抱きしめた。 かがみはこなたの胸でずっと泣いていた。すべての思いをこなたに伝えようと必死に泣いていた。 「かがみ、泣いてばかりじゃわからないよ」 母親のようなやさしい声でいった。うんと頷くと、かがみは降参した。 「あのね……」 言っていいのだろうか、迷った。だけど、こなたには勝てない。こなたから離れて、ちゃんと相手の目を見て、 「こなたのこと、好きなの」 こなたは驚いた様子を見せたが、いつものちょっとふざけた顔をしながら、 「じゃあ、両思いだね」 「え、どういうこと」 「私も、かがみのこと好きだよ」 とても軽い調子でいう。 「え、あ、え!」 口が思うように動かない。どこから質問すればいいのかわからないのだ。 「か、彼氏のことはどうするのよ」 「いやーだって彼氏とかがみは別物じゃん」 「私のこと好きって、それは友達としてだったの? だとしたら私は、こなたのこと……」 「わかっているよ、かがみ」 こなたは空を見ながら真面目にいう。 「だったら、別物って……」 「かがみは、私のどこが好きなの?」 「えっと……」 どこだろう。顔? 声? 体? 心? ううん、どれも正解でどれも違う。そう答えは、 「こなたが好きなの。こなたと一緒にいるのが好きなの」 「うんうん。私も、かがみが好き。かがみと一緒にいるのが好き」 そういってから、こなたは一息ついて、 「だから、きっとそれは浮気じゃないんだと思うよ」 きっぱりという。それを聞いて、 「なんだか、それって男が浮気するときの言い訳みたい」 とかがみは笑いながら言った。やっぱりこなたには勝てない。 「というわけだから、かがみ一緒に帰ろ」 手が差し伸べられる。それを取り、二人は手をつないだ。 「やっぱり、笑顔のかがみが一番いい」 「私も、笑顔のこなたが一番いい」 そういいながら、二人は笑顔になる。これから何度も波乱があるだろうけど、今この瞬間はこなたを感じていたい。 こなたと一緒にいられる、そんなありふれた幸せを。 終わり コメントフォーム 名前 コメント G…J? ;^-^)b -- 名無しさん (2023-03-14 11 21 43) 別物? -- かがみんラブ (2012-09-20 08 29 40) 三人称視点で話し進める必要性はないと思う。 あ、でもでもとにかくお疲れさまです( ^ ^ )/□ -- 名無しさん (2011-02-26 22 35 10) そんな都合のいい二股はいかがかと。 -- 名無しさん (2010-04-14 21 12 34) うーん… -- 名無しさん (2010-03-30 01 51 30) いいんだけど やっぱりこなたにはかがみ一筋でいてほしい… -- 名無しさん (2010-02-18 00 01 33) 良い作品だと思います・・・でもでも、 かが×こなファンの自分にはビミョー!! -- kk (2010-02-15 19 10 29) いい話だが……これは………。 -- 名無しさん (2010-02-15 16 17 11)
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へんたいかがみさん 「ちょっとこなた、何の真似よコレ!?」 「だってこうでもしないと、かがみん襲ってくるじゃん!」 「だからって、こんな檻に手錠に……こなたってばそういうプレイが好きだったのね! 初めて知ったわ!」 「ち、違うヨ!? 変な誤解しないでよ!」 「言ってくれれば直ぐにでも拘束して、あ~んな事やこ~んな事をしてあげたのに……こなたってば恥ずかしがり屋さんなのね! 可愛い!」 「ひ、人の話聞いちゃいね~!?」 「さあ、こなた……意地悪しないで外しなさいっ!」 「い、嫌だよ! だってその手錠とかはめるだけでも睡眠薬とか盛って大変だったんだよ? それなのにかがみんてば3分くらいで起きちゃうし!」 「愛の力よ!」 「愛SUGEEEE!?」 「そして、愛の力があれば……ふんっ!」 「手錠引きちぎったよ、この人!? 外してとか言う必要無かったじゃん!」 「次はこの邪魔な檻の番ね……」 「くっ……」 「な"!? スタン……ガン……」 「ネットで買ったんだ。 ……出来れば使いたく無かったんだよ? こんな物を使わないで、かがみんを説得するつもりで……」 「……カ・イ・カ・ンv」 「え"?」 「こなたってば、刺激的なのね……ビビビっと来たわ!」 「そんな……どうして……」 「私はね、こなた……。 こなたに対してはSであり、Mなのよっ!」 「な……!? 格好良く決めてるけど言ってる事むちゃくちゃだ~!?」 「こなた~♪」 「あ"あ"っ!? 気が付いたら檻壊れてるしっ!? にゃあああああ……」 へんたいかがみさん―了― へんたいかがみさん2 「こなた、ちょっと買い物に付き合って貰いたいんだけど」 「うぃうぃ~♪ 珍しいね、かがみんが私を買い物に誘うなんてさ」 「うん、ちょっと下着を買いに」 「……ごめん、急に用事が出来たよ」 「なんで?!」 「だって明らかに死亡フラグじゃん、それ!」 「あなたは死なないわ、私が守るもの」 「いや、誰のせいで死亡フラグが立ってると思ってるのさ!」 「そんな些細な事はどうでもいいから、ちょっと付き合いなさいよ!」 「やだよ!」 「付き合いなさいよ!」 「いやだって!」 「結婚しましょう!」 「学生なのにまだ早いよ……って違あぁう!?」 「なかなか言う事を聞いてくれないわね……」 「当たり前だヨ! だってそれ大事な人生の転機!」 「こうなったら、こなたの家に直接行くわよ!」 「な、何をするつもりさ?」 「こなたを買うわ!」 「いいから下着買ってきなよ!」 「実は下着を買いに行くのはこなたとイチャイチャする口実だったのよー!」 「うん、わかってた! んなこたぁわかってたよ最初から!?」 「わかってたって……実はこなた、私の嫁!? 嫁なの!?」 「空気嫁(KY)!」 「こうなったら、何が何でもこなたを買うしか無さそうね……」 「何でそうなるのさ!?」 「そうですよね、お義父さん!」 「うむ、そうだぞこなた!」 「駄目父さんktkr!?」 「ここは素直にかがみちゃんに買われとけって!」 「実の父が言う台詞じゃないよそれ!?」 「はっはっは、馬鹿だなぁ……。 どこかの知らない男と結婚するくらいなら、知ってるかがみちゃんに買って貰った方が幸せってもんだろう俺が!」 「娘の幸せ考えてないよ、この人!?」 「そして俺も時々おこぼれを「私のこなたに触れたらお義父さんでも容赦しませんから」ヤンデレえええぇぇぇ!? 刃物来たよ! 父さん信じられないよ! 中に人などいませんYO!?」 「かがみん頑張れー」 「しかもいつの間にか2対1?!」 「お義父さん、こなたもああ言ってる事ですし、こなたを買わせて下さい! お願いします!」 「あああ!? やっぱりかがみん頑張っちゃ駄目だったぁぁぁっ!?」 「仕方ない……これが契約書だ」 「あるの!? というか私の人権無視!?」 「ありがとうございます!」 「ちょ、ちょっと待ってよ! 人の話を……」 「これにサインして……今ならコスプレがセットで付くからさ」 「付かないよ!?」 「ネコ耳スク水は付きますか?」 「付かないってば! というか何でそんなマニアックな格好を要求してるのさ!?」 「泉かがみ……と。 サイン終わりました、お義父さん」 「いつの間に……ってそれ婚姻届じゃん! しかも何で書いた覚え無いのに私のサインがしてあるのさ!?」 「はっはっは、お父さんに不可能は無いんだよ?」 「そんなところで父親の威厳を示さないでよ!?」 「これで……こなたを……」 「あ~、かがみんや。 日本だと受理されないだろうから、それ。 ……女同士だし」 「じゃあ、オランダかドイツ辺りにでも提出してくるわ!」 「待てや日本人」 「行って来るわね~♪」 「日本語で書いてあるのに受け付けてもらえるわけないじゃん!」 ――数日後 「こなた~♪ 無事受理されたわよ~♪」 「嘘だッ!!」 「これでこなたと私は夫婦なのね♪」 「あ~、はいはい……」 「何よ、こなた。 私の事嫌いなの?」 「…………好きだけどさ」 「ふふ、それならいいじゃない♪」 「…………///」 「早速新婚旅行だけどね……」 「相変わらず根回し早いね……」 「みゆきのプライベートビーチを借りようかと思って」 「ああもう、何を狙ってるかみえみえだよ、このへんたいかがみさんめっ! 第一みゆきさんそんなの持ってたの!?」 「まあね。 ……ヌーディストビーチだけど」 「その土地何の目的で買ったのみゆきさーん!?」 「まあまあ、とにかく行くの? それとも行くの?」 「一択じゃん! ……まあ断っても連れて行かれるだろうし、行くよ」 「こなた……」 「かがみん……」 「船もチャーターしてあるわ」 「だからいちいち仕事早いんだよあんた!?」 「さあ、行きましょう♪ あなた♪」 「ちょ、引っ張らないで……って今こなたじゃなくてあなたって……というかああもう、nice boatだなあコンチクショーッ!!」 へんたいかがみさん2―了― へんたいかがみさん・番外編 「泉家のかがみです! 今から1の倍数でへんたいになります!」 「細かっ!」 「1(ハァハァ)、2(ハァハァ)、3(ハァハァ(* ´Д`*)ハァハァ)!」 「ひいいぃぃぃっ!?」 へんたいかがみさん・番外編―了― コメントフォーム 名前 コメント 変態かがみん萌え〜 -- 名無しさん (2011-04-17 10 49 15) 変態かがみんは死ねばいいと思う。かがみん=つんでれ -- 名無しさん (2010-11-28 19 00 36) グッジョブ -- 名無しさん (2010-08-23 22 22 07) うけるWWW こなたが攻めなのもいいけど かがみが攻めなのもいぃ!bb -- かがみんだいすき (2010-08-06 21 52 26) 変態かがみん キタコレ! -- ラグ (2009-02-03 16 29 26) 某ニコ動にある作品もこちらの作品も、根本的に かがみ→問答無用でこなたが大好き こなた→かがみの変態ぶりに困惑してるけど嫌じゃない ってのが前提にあるから、ニヤニヤしながら楽しんでしまうんだろうな バカップルマンセ〜! -- にゃあ (2008-10-11 03 19 34) 何気にオマケが一番受けてしまったという罠www -- 名無しさん (2008-10-10 16 26 40) ちょWWWWW かがみつよすWWWW -- 名無しさん (2008-10-06 20 45 20)
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「せーのっ」 『明けましておめでとうございます』 「今年もよろしくな、二人とも」 新年。作るのが遅かったせいでまだ暖かい年越しそばのどんぶりを目の前に置きながらの、おきまりの挨拶。 「それじゃあ年が明けましたので。お父さん、お年玉」 「ちゃんと用意してあるさ。二人とも計画的に使うんだぞ」 「え、私の分も?!」 「遠慮せずに貰っておきなよ、ゆーちゃん」 「そ、それじゃあ・・・」 今年・・・じゃない。去年からゆーちゃんが家に来てるから、お年玉はゆーちゃんのも込みだ。 去年と同じ額なら、お父さんの懐はさぞ寒いだろうに。 「じゃあ私、ネトゲの仲間に挨拶周りしてくるよ。黒井先生とか」 「おう、よろしく言っておいてくれ」 「私は友達と初詣に行ってきます」 「そうかい。行っておいで」 思い思いの元日。 部屋に戻ってPCの電源を入れ、起動が終わるまでにお年玉の内訳を確認する。 ・・・やっぱり、去年より少なくなってる。 まあ、しょうがないか。ゆーちゃんも居るし。今度ゆい姉さんに何かおごって貰おう。 まだ立ち上がらないPCを後目に、コピー用紙を一枚持ってきて、筆箱からシャーペンを取り出す。 一年の計は元旦にありと言うしネ。今年こそは・・・そう思ってることを、私は書き出すことにした。 PCも起動したのでゲームにログイン。 右手にキーボード、左手にペン。 コピー用紙に箇条書きにしていく。 「大学落ちても受かっても後悔しない・・・っと。おっと、右手で打ってる文字が割り込んでる」 大学落ちてもヨロって何さ。 そりゃまあ、あの3人には私が大学落ちても仲良くして貰いたいけどさ。 ・・・で、一番最後の項目。 やっぱり、これしかないよね。 「かがみに告白する・・・っと」 何時だったかな?かがみと話すようになったのは。 ともかく、吊り目、ツインテールと萌え要素そろってるかがみに、私は・・・うん、かがみは嫌がるかも知れないけど、『萌えた』。 しかも話していく内に、ツンデレもあるって分かって、ますます好きになっていった。 でもさ、萌えだけじゃ無いんだよ。 一目惚れ、なのかなぁ。つかさ経由で知り合う前から、時々かがみを見かけることはあった。 そのときから・・・何か惚れてたっぽいんだよね、私。 で、萌えと惚れの相乗効果(?)で、気づかない内に・・・かがみが大好きになってた。恋してた。 いつも会う度に、胸がキュンとなるあの感じ。わかるかなぁ、あれがずっと続くんだ。 大好きで大好きで仕方なかったんだよね。 でも、私はその気持ちを言えないで居た。 女同士だからって言うのもあるけど・・・一番の理由は、やっぱり今までの関係を崩したくなかったからかな。 私が原因で、昼休みのあの団欒がぎこちなくなるような事があれば、本当に学校行けなくなるかも知れない。 つかさやみゆきさん、それにかがみにあわせる顔がないから・・・ でも、卒業すれば、嫌だけど4人が顔をあわせることも少なくなる。 そうすれば多少ぎくしゃくしたところで、顔あわせる機会が少ないから付き合いに殆ど影響は無いはず・・・ って、後ろ向きなことばかり考えてるけど、それで今年こそは告白・・・卒業式あたりかな、それくらいに告白しようと思ってる。 一通り挨拶巡りしたところで、私はベッドに横になった。積んであるマンガに手を伸ばす。 「?」 手が止まる。 何かしなきゃ。 そんな感じがした。 結局、何であのときマンガに手を伸ばすのを止めたのかは分からない。 「お父さん、ちょっと出かけてきて良い?」 「こんな時間にかい?」 時計は0時30分を少し回ったところを指している。 こんな時間に外に出る理由といえば 「ちょっと私も初詣行こうかなと思って。かがみとつかさの家の」 「ああ、あの二人の巫女さんの所かい。でも今年は巫女さんで出てないんだろ?」 「でも会えそうな気がしてさ」 ? 「そうか。じゃあ、挨拶に行っておいで。お父さんはまだこの部分は書かないと忘れそうだし、しばらく出られそうにないよ。・・・〆切近いしさぁ」 うわぁ、泣きそう。 かがみ達の巫女姿見に行けないのがそんなに悲しいのか。 だとしたら、やっぱり私のお父さんだ。 「う、うん・・・頑張ってね。行ってきます」 ・・・私、何でかがみに会えそうな気がしたんだろ? そうして、かがみの家の(?)神社に着いた。 かがみ達が出てきてるとしても何処にいるのか見当も付かない。 取りあえず、初詣の列に並ぶことにした。 「はふぅ」 手がかじかむ。手袋はしているけれど、流石にこの寒さはきつい。 見渡せば地面には霜柱。昔よく踏んづけて遊んだ記憶がある。 それから絵馬。かがみは俺の嫁、とか書いて帰ろうかな。それじゃ単なるストーカーか。 そしてかがみ・・・ 「へ?」 かがみが居た。しかもこちら目掛けて歩いてくる。 「・・・」 開いた口が塞がらなかった。 「おーっす、こなた」 「おー、かがみじゃん。あけおめー」 「あ、そうね。明けましておめでとう」 いつものかがみだ。 「あれ?おじさんは?去年来てたわよね。それからゆたかちゃん」 「ああ、お父さんなら、何でも締め切りがマズいらしくて、今必死になってワープロにかじりついてるよ。ゆーちゃんは友達と初詣だって。だから今年は私一人で来たわけ」 長い話になりそうだ。 私は参拝客の列から抜けるように歩いた。 かがみも付いてくる。 「ふーん、大変そうねぇ。・・・所であんたはどうして来たの?受験でしょ」 「何をおっしゃる、かがみ様。こうしてかがみの顔を拝みに来たんじゃないかえ。御利益ありそうだしネ」 「なっ!」 いつも通りの冗談。かがみの顔がボッと赤くなった。 可愛い。 そして、胸がときめく。 「それにかがみだって、仕事じゃないのにこうして出てきてるじゃん。かがみこそ何で?」 「わっ、私は・・・・・・こなたが来る、って気がしたから・・・」 「・・・そっか」 予感はこれだったのだ。運命の巡り合わせか、はたまた神様の悪戯か。 そんなことはどうだって良い。 「私もかがみに会えるような気がしたんだ。だから出てきたんだけど・・・当たったね」 「・・・あのね・・・」 「ん?」 かがみが俯いて、何か言いたそうにしている。 「私、こなたのこと・・・好き」 驚いた。ラックの種って、リアルに存在したっけ? 衝撃に固まること、しばし。 「・・・良かった・・・」 思わず口に出てしまった様だ。 かがみが好いてくれていた・・・だったら、私も言っても良いよね? 計画前倒し。 「私も好きだよ、かがみ」 うれし涙が止まらなかった。 見ればかがみも涙を流している。 「今年もよろしくね」 「うん」 次第にお互いの顔が近くなっていく。 最高のお年玉だった、と思う。 「寒いわね」 「寒いねー」 二人手を繋ぎ、境内をぶらぶらと歩く。 かがみが手袋を持っていなかったから、片方を貸して、素手を握りあった。 「で、晴れてお互いの気持ちが伝わったは良いけどさ」 「ん?」 「報告・・・どうする?つかさや、みゆきさんに言う?」 「・・・どーしよっか・・・」 二人の間ならべつに女同士だろうと何だろうと、関係ない。 が、周りの目はそうも行かない。 世間体を気にしない生き方が出来れば良いんだろうけど、そのせいでかがみが辛い目に遭うようなことがあれば、問題は深刻だ。 百合作品が最近よく出回ってるとは言え、飽くまでそれは作品であり、リアルで百合は好かない、という人だって居るだろう。 隠れてしか二人きりになれないとか、そんなのは嫌だ。 「みゆきは・・・多分話せば分かってくれるわよ。つかさだったら別に問題ないんじゃない?」 「何で?」 「こなたから・・・そう、何て言うの?女の子同士イチャイチャしてるような・・・」 「百合?」 「まあ、そう言うマンガ貸していって抵抗無くせば・・・あの子、そういうのに影響受けやすいから」 「かがみも結構スゴいこと考えるねー。世間一般ではそういうの、洗脳って言うんだよ」 「わ、分かってるけど・・・」 でも確かに、そういう手は有効かも知れない。 紅白でも、性同一性障害(だっけ?)で性転換した歌手が出てたし。 「よし、決めた」 「何をよ」 「ふっふふふふー、良いこと」 「どんなよ」 「私が世間に影響力を持てるようになって、恋人がかがみだってカミングアウトするの。そうすれば、少なからず賛同者が出てくるじゃん?その勢いで署名集めて、同性婚出来るように法改正要求して、かがみの家に『かがみを幸せにします』って言いに行くの」 「!・・・何かまた突拍子のない考えを・・・」 「・・・ダメ?」 「良いんじゃない?でも、どうやって影響力持つのよ」 「コスプレ喫茶で鍛えた演技力で、俳優やるとか。そうじゃなかったら声優とか!私、平野綾そっくりの声出せるよ!」 「それじゃぁ、今からやることは?」 「・・・はい、お勉強します・・・」 「あとそういう声優養成学校みたいな所のパンフの取り寄せね」 やることは決まった。さっきのコピー用紙に書き足しておこうか。 「ところでさ、こなた」 「ん?」 「・・・この後、予定入ってる?」 「無いけど?」 「じゃあ、家に来ない?つかさしか居ないし、多分また寝てるし」 「え。え、えぇっ?!」 「よし、決まりね!さぁ、行こう」 「ちょ、ちょ、まっ」 体の小さな私は、かがみに引きずられるようについていく。 かがみの手がさっきより熱い。 ・・・可愛いなぁ、かがみ。 「ねぇ、ちょっとかがみ」 「ん?何?」 振り向いたかがみの頬に、タイミングを図ってキス。 頬は手よりも熱かった。 「好きだよ」 「私も」 初日の出の時間まで、あと何時間あるかな? コメントフォーム 名前 コメント 明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。 -- 名無しさん (2023-01-02 21 49 14) がんばれ -- 名無しさん (2021-02-05 14 12 43)